最近の新しい焼き菓子

レモンマフィン

このところ新しいメニューが店頭に並んでいますが、

焼き菓子作りなどで忙しく、なかなかご案内ができません。

 

思いついたもので何点かご案内します。

まずレモンカードを使ったマフィン。

果汁が多くて美味しい国産レモンが求めやすくなりましたので、

レモンカードを作りました。

 

 

イギリス発祥のレモンカード

 

カード”Curd”とは”凝固する”という意味で、

レモン果汁とバター、それに砂糖と卵をゆっくりと湯煎にかけて

ペースト状にしたものです。

当店ではすりおろしたレモンの皮も入れているので、

レモンの爽やかな香りいっぱいの、

フレッシュな味わいのクリームになっています。

 

このレモンカード、イギリスでは古くからあるもので、

輪切りのバゲットにたっぷりと塗って、

こんがりと焼いたものがアフタヌーンティーの定番だとか。

 

このカードをマフィン生地に混ぜ込んで、

表面にクランブルをのせて焼き上げると、

レモンマフィンの出来上がりです。

爽やかだけど旨味を感じる香りと、

コクのある酸っぱ甘い味わいの上質なマフィンです。

 

クランブルとの相性もよくて、

食べ終わってからの余韻も長く、

食べ飽きないマフィンです。

 

 

このレモンカードと同じ作り方の

「アップルカード」を使ったマフィンもあります。

 

アップルカードにはクッキングアップルのブラムリーを使います。

ブラムリーは熱を加えるとトロトロになるので、

カードを作るには最も適したリンゴです。

 

レモンほどの酸味はありませんが、

レモンとは違うやさしい味わいがあり、

スコーンやビスケットにつけて食べるととても美味しいカードです。

 

                 アップルクランブルケーキ

前々からイギリスの焼き菓子が好きで、

スコーンやクッキー(ショートブレッド、オーツクッキーなど)、

フルーツケーキ、しょうがケーキなど

イギリスの焼き菓子を参考にしているものがたくさんあります。

 

何といってもザックリとした感じの作りが好きで、

いかにもお母さんのおやつ、

といったところにとても惹かれます。

毎日食べても飽きないおやつです。

 

今年はイギリス原産のクッキングアップル

「ブラムリー」が手に入り、

リンゴを使った焼き菓子のレパートリーも広がりました。

 

その中のひとつ、

ブラムリーを使ったアップルクランブルケーキ。

 

小麦粉、バター、卵、砂糖、アーモンドプードル、

ベーキングパウダー、塩を混ぜた生地に

生のリンゴ(ブラムリー)を加え、

軽くシナモンを効かせたクランブルをトッピングして

約1時間しっかりと焼き上げます。

 

クランブルはもともとイギリスの焼き菓子で、

カリカリ・サクサクのそぼろのような(crumble)

トッピングを愉しむおやつです。

 

小麦粉、アーモンド、バター、砂糖をポロポロのそぼろ状にし、

リンゴや色々なベリー、アプリコット、プラムなどの

果物の上に乗せて焼き上げる気軽な家庭のおやつで、

当店ではリンゴのクランブルタルトなどがあります。 

 

焼きたてより1日置いた方が

いろいろな味がなじんで美味しくなるケーキです。

 

酸味の強いパンチの効いたブラムリーでないと

この味にはならないかもしれません。

 

リンゴの酸味で、重くなりがちなリッチなケーキが軽く感じられ、

クランブルの甘さが酸味とちょうどよい加減に調和して、

毎日でも食べたくなる味わい豊かなケーキです。

 

 

コーヒーとチョコのビターケーキ

これは日常の家庭でのおやつではありません。

 

以前にお酒用のバー・スイーツとして作ったものを、

軽くしてアフター・ディナー用のケーキとしたものです。

 

このお菓子もイギリスつながりです。

スコットランドの蒸留酒と言えばウィスキーですが、

ウィスキーでもブレンドされたスコッチ・ウィスキーではなく、

個性の強いシングル・モルト・ウィスキーを使った

お酒にあう焼き菓子が何かできないかな・・・。

 

 

ビターチョコとコーヒーに砂糖を控えて焼き上げたケーキに

シングル・モルト・ウィスキーを浸み込ませて

表面にコーヒーシュガーをかけてできたのが

このビターケーキです。

 

チョコレートはクーベルチュールのビタースイート。

コーヒーはお菓子(特にチョコレート)と

とても相性のよいマンデリンをエスプレッソ用に挽いてもらったもの。

砂糖はコクを出すために少量の黒砂糖。

アクセントに微量のナツメグ、クローブなどの秘密のスパイス。

シングル・モルト・ウィスキーは、

今回はスコットランドでもっとも飲まれているもので

軽くて華やかな、フレッシュな柑橘の香りの「グレンモーレンジオリジナル」・・・

 

ここまで書くとこのケーキ、相当マニアックなケーキですね。

仕上げのシングル・モルト・ウィスキーを変えると

また違った香り、味わいのケーキになります。

 

コーヒーのほろ苦さ、チョコに絡む複雑な香りのビターな味わいで、

トッピングのコーヒーシュガーが効いていて、

適度な甘さもあります。

 

おやつというよりは、

ゆっくりしたいときの大人の愉しみです。

 

小さくカットして、ウィスキーやスピリッツ(ジンやラムなど)、

甘くないカクテル、

濃いコーヒーなどとともに

少しづつゆっくりと味わいたいケーキです。

 

寒い夜、部屋を暖かくしてゆっくりと・・・。