薔薇(ばら)とラズベリーのケーキ

しばらく前に、お客様より

「母の日に向けて、バラか無花果を使った焼き菓子はありませんか?」との

お問い合わせがありました。

 

季節的にはバラがいいな…と思いつつ、なかなか取りかかれなくて…。

 

薬草や花、香料に詳しい友人に

「焼き菓子に使えるバラで何か向いたものはない?」と聞いたところ、

送られてきたのがこれ。

 

「バラの蕾」

 

友人がイランで買い付けてきた食用の「ダマスク・ローズ」

 

この「ダマスク・ローズ」

原産地はイランやシリアなどで、約一千年前から栽培されているとのこと。

ダマスク(Damsk)はシリアの古い都ダマスカス(Damascus)に

ちなんでつけられた名前で、

「モダンローズ(現代種)」と「オールドローズ」に大別されるバラの中で、

オールドローズに属するようです。

 

この花の芳香は独特で、数あるバラの中でも特に香り高いとされています。

バラの香りの代表的なもので「ダマスク香」とも呼ばれ、

ローズ・オイルやローズ・ウォーターの香りにもこのバラが多く使われています。

 

ダマスク・ローズの香りや成分にはいろいろな効能があるようです。

気分が落ち込んだり、傷ついて疲れた心を癒して元気にしたり、

ホルモンバランスを調整したり、

血液を浄化し、肝臓を強くしたりと健康、美容にも効果が期待されているとか。

 

 

こんなバラの蕾を使った「母の日」用の焼き菓子・・・

どんなものを作ろうかと思案。

 

蕾をそのまま使うわけにもいかず、

バラの花弁を一枚一枚きれいにバラして使うことに。

 

ホワイトチョコ入りの生地に混ぜてしっとり感を出しても香りは残るだろうから、あとは量をどうするか。

この淡いバラの色は焼くと飛んじゃうんだろうから、

焼き上がった後でも見た目にも美しく、ケーキとしても味を美味しくするにはどうしたら…。

 

ラズベリーの色と酸味、香りがこのバラに合うのでは・・・。

バラの香りを邪魔しない程度にラズベリーを小さくしたものを、

真ん中にサンドしてみることに。

 

バター、クーベルチュールホワイトチョコ、卵、砂糖、ミルクを混ぜたものに、

花弁を入れた小麦粉を混ぜて型に流し、

小さくしたラズベリーをサンドして焼き上げること数十分・・・。

 

オーブンからバラの香りがしてきました。

切ってみると花弁の色は抜けていましたが、しっかりとダマスク・ローズの香りは残っていました。

ラズベリーの色も程よく出て完成です。

 

主張しない自然なバラの香りがフワッとしてきます。

食べ始めるとこの香りとともに、ラズベリーの酸味とミルキーなホワイトチョコがバランスよく味わえます。

食べたあともバラの香りの余韻が長く、こころが落ち着く感じです。

 

母の日のプレゼント用としてだけでなく、

普段のおやつとしてもお求めください。しばらくは店頭に並びます。